一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
『元気に決まってるじゃん。それよりどうして私が電話したか分かってる?』

「え?」

『え、じゃないよ! 海斗から聞いたよ! 美弥、例の彼とうまくいっていて結婚間近なんだって? 聞いてびっく
りしたんだけど』


『おめでとう、よかったね』と言われ照れ臭くなるものの、亜優にすぐ報告していなかったことを申し訳なく思ってしまう。

「ごめんね、亜優。もっと早く報告できなくて」

『ううん、いいって。美弥の話を海斗とするの、楽しいんだから』

亜優らしい発想に和む。

「実はね、昨日の夜もう一度ちゃんとプロポーズしてもらえたんだ。……婚約指輪ももらっちゃった」


左手薬指にはめられている指輪を見つめながら言うと、電話越しからは亜優の『キャー!』という叫び声が響き、思わずスマホを離してしまった。


『ちょっとやだ! 本当におめでとう!! どうしよう私まで嬉しい』

「……ありがとう、亜優」

顔を見なくてもわかる。亜優は心から祝福してくれているってことが。
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