一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
「水谷さん……いや、お義父さん」

「おっ、お義父さんっ!?」

予想外の呼び名に咄嗟に自分を指差すお父さん。けれど南さんは表情を変えることなく言った。

「僕はぜひともミャー……、美弥さんと結婚を、前提にお付き合いさせていただきたい所存です」

そう言うと彼は少し後退り、土下座し出したものだから、お父さんとふたり、途端に慌て出してしまった。

「そっ、颯馬さんっ! 頭を上げて下さい!!」

お父さんの言葉に私も何度も首を縦に振ってしまう。けれど彼は一向に頭を上げることなく言った。


「必ず美弥さんにも、僕と結婚したいと思って頂けるよう努力いたします。……その際は僕を美弥さんの相手として、認めてください」


あまりの急展開に頭がついていかない。

これはなに? まさか私、夢でも見ているのだろうか。

あの南さんが私との結婚を望んでいて、我が家で土下座をしているなんて……っ!


「そんな滅相もございません! うちの娘なんかでよろしければ、いくらでも持っていってください!!」

とんだ展開にお父さんはネジが一本外れたかのように、南さん同様土下座をし、人をモノ扱いする始末。
< 58 / 334 >

この作品をシェア

pagetop