一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

「ミャー、二日ぶり。会いたくて来ちゃった。あとミャーのだし巻きたまごが食べたくてさ」

可愛く言われたって笑えない。けれど追い返すわけにはいかない。


「どうぞ、ちょうどタイミングよく料理もできていますので。……だし巻きたまごは今から作るんで、ちょっと待っていてくださいね」

溜息を漏らしながら彼を家に招き入れると、嬉しそうに顔を綻ばせた。

初デートのあの日以降、南さんは仕事が忙しいらしい。

一週間ほど音沙汰がなかったんだけど、彼はある日突然、今日のように夕食時間にやって来たのだ。

「ミャーに会いたいから来ちゃった」と。


当然お父さんは大歓迎で迎え入れ、「いつでもいらしてください」なんて余計なことを言ってしまったものだから、こうして早く仕事が終わるたびに我が家を訪れていた。


「あぁ、やっぱりミャーが作るだし巻きたまごは最高だね」

「それはどうもありがとうございます」

よほど我が家のおかずが物珍しいのか、いつも来るたびに感激して「美味しい」と言いながらたくさん食べてくれる。