一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい
ハニカムお父さんに胸が熱くなる。

お母さんの話は、命日だけしようと決めていた。

でないと毎日でも思い出して、ふたりでしんみりしちゃうと思ったから。

沈んだ気持ちを払拭するように再び箸を伸ばし、おかずを口に運んでいく。


「それは僕も是非お会いしたかったです。……きっとミャーに似て可愛らしい方だったんでしょうね」

相変わらずな口のうまさに、喉に詰まりそうになってしまい、慌ててお茶で胃に流し込んだ。

そして彼を見れば、相変わらず愛しそうに私を眺めているものだから、胸の鼓動が忙しなくなる。


初デートの日、散々後悔したというのにこの一ヵ月間、また私の気持ちは彼に振り回されっぱなしだった。でも――。


「あ、やっぱりミャーに似て可愛い人だね」

「そう、ですかね」

夕食後、彼は決まって後片付けの手伝いをしてくれて、食後のお茶を一緒に飲んでから帰る。
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