Dear My・・・
Dear My・・・
 こんな気持ちに気づかなければよかった。

 でも、もう遅い。

 気がつかなかった頃には戻れない。


 日が傾きかけた帰り道。

 夕焼けが雲を赤く染めている。

 横を通り過ぎた自転車が、ブレーキを掛けて止まった。

 乗っている人がこちらを振り返る。

「よお」

 そう言って、彼が手を上げた。

 いつも一緒にいるはずの彼女はいない。

「今日は1人なのね。彼女はどうしたの?」

「寄るところがあるから、先に帰るって」

「そう。それなら自転車の後ろに乗せてよ。駄目?」

 少し首を傾げてそう聞く。

 ちょっと戸惑っている彼の顔。

 そこは彼女だけの指定席。

 だけど、今日は空いている。

「しょうがないなぁ。いいよ、乗れよ」

「ありがとう」

 自転車の後ろに横座りで腰掛けて、彼の腰に手を回す。
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