神にそむいても


「じゃあ、私が説明するわね。
 鉗っていうのは馬の首につけていた首輪みたいなものね。
 で、ここでいう駒は馬のこと。
 で、直訳すれば、

『私の飼っている馬は大事に首輪をつけていて小屋からも出せないようにしていた。
 なのに、人が見てしまったよ』

 ということね。

 それで、中大兄皇子と間人皇女が恋愛関係にあったとして、
 なおかつ、孝徳天皇がふたりの関係に気づいていた上で詠んだ歌と仮定して訳すと、
 
『私の妻である間人皇女は大事にしていて家から出られないようにしていた。
 それなのに、中大兄皇子は見つけてしまったよ』、

 つまり連れ出したということね」


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