神にそむいても


ちょっ、ちょっ、ちょっと待って!
ちょっと待ってよ~!?

ということは!

目の前にいるのはもしかしたら天智天皇の妹の間人皇女!?

じゃあ、お兄さまって言ってたのはあの天智天皇のこと!?

いや、この時代孝徳天皇が在位してて天智天皇はまだ即位してないから、
正確には中大兄皇子。


頭がクラクラする。

私、夢にまで見るなんて。
しかも、彼女とそっくりなんていうハナシ。

どれだけ自分の意識を投影させてる夢を見てるんだろう。


智に逢いたい。
智が恋しい。

もしかしたら、現実逃避してるのかな。


「なんですの?私が偽りを申しているとでも?」

ギロリと睨みつける姫。

「い、いえっ!そんな!ただっ」

「ただ?」

「そんな高貴な方とうつふたつだなんてあまりにも光栄なことで」

うっわー!
よくもまぁ、都合良く言えたな。私。

だけど、とっさの機転。
ここだともってないと命があやうい。

「ふふふ、そう言っていただけるのは私も光栄ですわ」

けっこう単純なのか、それともあえてそう言っているのかわからないけれど、
彼女は私の返答に一応納得してくれている様子。



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