【新】レンタルフレンド～お友達をお貸しします～

「父親と会うのは年に数回だけ、子供の頃は父親がいないことが原因で同級生からいじめを受けていたそうよ」

「そ、そうなんですか…」

あの底抜けに明るく元気なマキヨの様子からは考えられないエピソードだった。

「そんな毎日を過ごす中で、あの子のことを助けてかばってくれる子がいたんですって。

その子が相手に向かって強く言い返してくれたおかげで、翌日からいじめはなくなったって言ってたわ。

彼女の存在がなかったら自分はいなかったかも知れないって、そう言ってたわ。

だから、自分も彼女のように苦しんできた人やつらい思いをしている人を支えてあげたいんだって」

「それで、春田さんを入社させたと言う訳なんですね」

納得したと言った様子の幸代に、
「そう言うことよ」

由紀恵は首を縦に振ってうなずいた。