片思いの相手
『先生、今日はクッキー作ってきたんです。はい、どうぞ。』

先生の研究室にお邪魔して、クッキーを渡します。

クールな見た目とは反対に、甘党の先生。

お菓子だけは食べてくれます。

無言で食べ出す先生。

ん~っ、可愛い!

このクッキー食べる姿、萌えます。

ギャップですかね。

コーヒーはブラックらしいので、勝手知ったる…で、コーヒーメーカーから注ぎます。

黙って受けとると、パソコンに向かいながらだけど、クッキーの食べる手は止まりません。

これを眺めるのが至福の時。

ちょっとでいいから、私の方を向いてくれないかなぁとも思うけど、毎日傍にいれるだけで幸せなのです。

「毎日飽きないの?」

これも毎回聞かれます。

『全くです。』

ニコニコ笑いながら即答します。

『先生、自分の名前フルネームで言ってみて?』

「…なんで。」

怪訝そうな伺う目で見てきます。

『いいから、一回だけ!』

「…葵椎梛…。」

『ありがとうございます。』

まさか言ってもらえるとは。

無視されるの覚悟してたのに。

「で?意味は?」

『先生の名前、あ、おいしいな(美味しいな)って言ってもらえた気分にちょっとなりたくて!』

視線が凍えるようです。でも負けません。

こんな日常も1年経ちました。

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