It's so hopeless
「ロイに笑われちゃうかもしれないな…」




ロイを想うと自然と笑みが零れる。
先程作ってしまった痛い傷も、ロイとの話のネタになると思うと痛みなど平気に感じてしまうから不思議。




いつだって私のくだらない話を嬉しそうに聞いてくれるし、私が持っていくお菓子を美味しそうに食べてくれる。





私が来るのを“あの場所”で待っているロイは、声をかけるとキョロキョロと私を探すのだ。

私がロイの手を握ると嬉しそうに私の名を呼ぶ。







「ソラ」





私を呼ぶ声。
声の主を探そうと、辺りを見回すが誰もいない。





「―――あれ?」



変だと思い首を傾げていると、足元に何かふわふわとした感触を感じた。



見てみると見覚えのある黄金色の毛を持つ生き物…。




「テトラーッ」



私は思わず大声を出してしまった。


テトラはやんちゃな小ギツネ…。セピア色の森に暮らす私の友達。





「おいおい、いきなり大声だすなよな。
ソラはやっぱりお子様だなっ」




テトラは私にいたずらな笑みを向けてきた。
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