溺愛なんて聞いてない!
あれは3年生の夏休み直前の7月だったと思う。夕飯に使うオイスターソースが無いことに気付いた私は近くのスーパーにへ買いに出掛けた。
その日の夕飯はあんかけそば。
まだまだご飯作りは駆け出しで、市販のものを使うところから始めた私。その日もパリパリ麺とスープがセットされた市販品に野菜炒めを混ぜるだけで出来上がる、そんな素敵な一品。

食べる直前、お好みでお食べください。と、我が家ではオイスターソースが食卓に並ぶ。

子供の私にはよく分からないが、両親は好んでそれを使っていたからだ。

買い物はそれだけだった。

だけど、1度スーパーへ足を踏み入れると何故かよけいな物まで買ってしまうのはスーパーあるあるだ。

その日はネギとジャガイモが安かった。


夏も本番に入り、素麺の出番も増えた。
来たついでに買っておこうか。

ジャガイモは煌が好きだった。チンしてバターをかけるだけ。じゃがバターを出しておけば煌はご機嫌だった。

少し重たくなるけれど……買わない選択肢はなかった。


エコバックにジャガイモとネギとオイスターソース。ネギの頭が袋から飛び出して一端の主婦みたいだと少し嬉しくなった。

出来る女の仲間入りしたような、ちょっとした照れ臭さと誇らしさがあった。



そして事件は帰り道に起きた。


同級生の男子達に会ったのだ。
彼らは近くの公園でゲームをしたり、サッカーをしたりしていたそうで家への帰り道だった。


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