俺、兄貴になりました④



「慶にぃ何してんの?遊ぼうよ!」


「翔にぃが新しいゲーム買ってくれたんだよっ」



バタバタと駆け寄って来たのは、小学生2人組。


定期テストなんて面倒なものをまだ知らない2人は、あくまで純粋に遊ぼうと誘う。


けれど、今の慶にとっては悪魔の囁きだろうな。


さすがに慶も今回ばかりは断るだろうけど。



「マジで!?やるやる!」



目を輝かせて即答した慶に、思わずズッコケる。



…おいっ!

ゲームにつられてんじゃねぇよ!




パコン!



「痛って!」


「慶、今俺が教えてあげてるんでしょ。早くこの問題解いて」



教科書を丸めて慶の頭を叩き、少し睨みを利かせて言い放つ翠。



顔はニコニコしてるけど、目が笑ってねぇ…。



「わ、分かりましたぁっ!!」


「よし」



慶が翠の言うことをよく聞くのは、兄として尊敬しているからというのもあるだろうけど、普通に怒った翠が1番怖いからっていうのもある気がする。


< 9 / 87 >

この作品をシェア

pagetop