桜の下で
消え去った過去
〜直也side〜

二人に勉強を教えたあと、環と一緒に帰った。

それには理由があった。

環は小学校中学校菜穂と一緒だった。
まぁ俺も一緒だったけど。

だったら菜穂の事を知っててもおかしくない。

だから菜穂を悲しませないように口止めを
しようと思ったわけで…

「赤城君?どうかした?」

「え?あ…ごめん考え事してた。」

「どうかしたのー?」

「…どうしても環に聞きたい事があったんだ。
聞いてくれるか?」

「私は大丈夫だよ?公園も近いからそこで
話そうか?」

「ありがとう。」

二人で誰もいない小さな公園に寄って
話を始めた。

「環って菜穂と小中一緒だったよな?」

「そうだよ?クラスは違ったから昼休み
とかに話す位だったけどね。」

「じゃあ俺の事も覚えてた?」

「知ってたけど言われたくないかなって
思って言ってなかったよ?学校では天才
ピアニストって言われて人気だったよね。」

「詮索してくれないのは本当に助かる。
学校でメガネ外すからバレてないんだけど。」

「もしかして口止め?言われたくないなら
そんなこと言わなくても絶対に言わないけど?」

「ピアニストの件は置いといて。話してもいいけど
あまり話されたくはないかな。口止めって言うのは
菜穂の方だよ。」

「菜穂?なんで?あの子に秘密なんてないでしょ?」

言おうとすると心が痛む。





「……菜穂は記憶喪失なんだ。」




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