桜時雨の降る頃
「そうだな〜、やっぱり某夢の国に行きたいかなぁ」


「ははっ、魔法の国ね。雫好きだもんな。いいよ、行こ」



「やった、楽しみ!」

ディズニーランドに行くのは久しぶりだ。
嬉しくて頬が大きく緩んだ。


「…………なぁ、雫?」



「うん?」


そっと陽斗はわたしの手を優しく握りながら呼びかける。



「好きだよ、雫。…………大好きだ」


周りの人は聞いちゃいなかったかもしれないけど、一応カフェという公共の場での改めての告白に

わたしはカーッと耳から顔まで真っ赤になるほど照れてしまった。


「ど、どうしたの」


「別に? 言いたくなったから」


にっこり微笑んで、握っていた手に更に力を込めてくる。


「っ、もう。陽斗はホント場所とかわきまえないんだから」

嬉しいのに、素直にありがとうも言えなかった。

「気持ちはその都度、言葉にして伝えないとね」


陽斗のすごいところだ。

わたしもそれに倣って、ちゃんと言えばよかったんだ。





陽斗、好きだよって。




与えてもらってばかりで
何も返せていなかった。
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