サムライ君とメガネちゃん
別離
終業式の前日、私は放課後、学習塾に行

き、8時ころ家に帰ってきていた

夕食を食べ、お風呂に入ろうかな、と考え

ていたとき、私のスマホが鳴る

…レイコさんだ

「もしもし、レイコさん?」

「ああ、メガネちゃん?メガネちゃん?」

何か慌てている様子。どうしたんだろう

「今すぐ来なさい、神社に!早く!」

「レイコさん、レイコさん、どうしたん

ですか?」

ただならぬ様子

「あのね、落ち着いて、聞きなさい、

…タイムホールが…出現する、兆候がある」

え?タイムホール?

私の頭の中で、封印していた何かが、じわ

じわと形を現しつつある

忘れていた、そして封印してきた、思い出

したくない、冷酷な事実が…

「そうよ、テツを幕末の時代に帰す時が来

ちゃったの

あなたには、辛いかも知れないけど…

あと一時間しか、ない

もしもし、聞いてる?もしもし?」

聞こえてない。私は力が抜け、部屋の床に

座り込んでいる
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