サムライ君とメガネちゃん
終章
夏休みも後半

街のそこそこで、蝉がこの世の夏真っ盛り

とばかり、大合唱している

私たちはほとんど毎日、ミキちゃん宅でお

勉強会を開いたり、塾の夏期講習に行った

りしている

今日は水曜日。私は昼間、塾で夏期講習に

参加し、夕方自宅への道を急いでいる

テツ君が去ってから、努めて近寄ることを

避けてきた場所…神社の横を、歩を緩めて通

りすぎる

そう、ちょっと前までは、近寄ることもた

めらっていた、数々の思い出の場所…

テツ君と私の、思い出の…

…でも、あの「決別の旅」を経て、心の底か

ら号泣することによって、少し吹っ切れた…

ような気がする

もちろん、完全に忘れ去ることなんか出来

ないし、したくない
< 348 / 362 >

この作品をシェア

pagetop