サムライ君とメガネちゃん
神社の下に戻る

耳を澄ませる

…聞こえる!

聞こえる!聞こえる!聞こえる!

幻聴でも、風の音でもない、今にも消えそ

うなその音は…その、音色は…

私は神社の階段を登る

かけ登る

足がもつれる。汗が吹き出す

つま付きそうになる

忘れようにも、忘れられない思い出が、私

の心に、通勤電車の雑踏のように拡散する

これは…この音は…!

尺八の音色だ

テツ君だ

テツ君だ、テツ君だ、テツ君だ

あり得ない、あり得ないけど

はあ、はあ、はあ

まさか、まさか、まさか

神社の階段を登りきる
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