泥酔ドクター拾いました。
一瞬にして、自分の周りの空気だけが冷たくなった気がしてくる。

送別会で記憶をなくすほど飲んだ、あの夜。

藤代さんの部屋を間違えて泊めてもらうというだけでも、玄関前で土下座でもして謝罪しなければならないレベルの粗相だというのに。

なんと、藤代さんにキスまでしていたとは。

藤代さんと病院で一緒に仕事をすることになって、彼女がやけに俺を避けていたことや敵対していた理由がようやくわかった気がする。


後悔と藤代さんに対する申し訳ない気持ちが嵐のように一気に押し寄せる。

「ご、ごめん……」

思わず口から零れ落ちるように出てしまった言葉。こんな言葉で謝ったところで謝り足りないこと位分かっているというのに。
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