泥酔ドクター拾いました。
このまま私が今の病院で働き続けるとなると、いつか大和田先生が彼女が出来たとか、結婚するとか知ることになって、それを知るたびにきっと私は傷つくのだろう。


そんな考えが思い浮かんで、私はこんなにも大和田先生に惹かれているんだということに気が付く。

対向車のライトに照らされる大和田先生の横顔を眺めながら、急にさっきのキスを思い出す。


『俺は、藤代さんに辞めて欲しくないと思っている』

真剣な眼差しで射抜くように見つめられたまま、吐き出すように言われた言葉。
胸に突き刺さった言葉に心が大きく揺らいだ。
あの時、先生の唇から目が離せなかった。


思い返すと、未だに先生の唇の感触が鮮明に思い出されて、心臓がうるさいくらいに鳴り響く。


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