泥酔ドクター拾いました。
「よろしくお願いします、大和田先生」

取り繕った甘ったるい猫なで声に、語尾にはもちろんハートマーク付き。
右からも左からも、スタッフがそんな声で大和田先生に向かって次々に頭を下げた。

みんな、この笑顔に騙されてる!!

頭の中で、週末の出来事を思い返していたら完全に私一人だけお辞儀のタイミングが遅れてしまった。


慌ててお辞儀をして、顔をあげたら、泥酔男もとい大和田〝泥酔″先生と視線がばっちりかち合ってしまった。


フッと右頬にだけ軽い微笑みを浮かべたような気がしたのだけれど。

きっと、気のせい。

彼は振り向きもせずに、院長の隣に並んで足早にナースステーションを出て行ってしまった。


気づかれているわけない、よね。
あの時、あんなに泥酔していたのだもん。こんな短時間に私のことなんて気が付くはずないんだから。


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