泥酔ドクター拾いました。
『彼とは、本当にただの遊びだったっていうか…。本当に反省しているの。』

戻る気がないと冷たく言い放った俺の言葉に、ほのかは言葉を選びながらゆっくりと話を続ける。

「彼って…。あいつは俺の後輩。医局の同僚。ほのかだって、分かってんだろう?」

『……うん。だから、反省してるの。私も彼も』

彼もって…。

心が一気に熱を失っていくのが分かる。

夕暮れ色に染まった医局のドアを開けた瞬間、熱烈に唇を奪い合っていたほのかと後輩の姿を見たあの時と同じように。

自由奔放な彼女の性格が悪いのか、忙しさを理由に彼女に淋しい想いをさせてしまった俺が悪いのか、そんなこと今となってはどちらでもいいのだけれど、あの日の出来事で俺のほのかに対する気持ちは一気に冷めていった。

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