泥酔ドクター拾いました。
少しだけ息があがるのをこらえながら、現場に着くとそこはもう騒然としていた。

目の前には私の受持ちの患者さんが血の気を失った顔をして倒れている。

「廊下で急に倒れたの。意識なし、酸素とってくるから、現場お願い」
先輩ナースが慌てた様子で私に簡単に状況を伝えると、酸素マスクを取りに駆け出していく。


さっきまできょとんとした顔していた大和田先生は殺気迫る真剣な横顔で、馬乗りになって心臓マッサージをしている。


数時間前まで、私と冗談を言い合う位に元気な患者さんで、来月の退院をすごく楽しみにしていたのに。どうして…。


「なに突っ立ってんだ!!バイタル測定して、報告しろ!!」

大和田先生が私に怒号のように言葉を投げつけて、ショックを受けて動けずにいた私はハッとした。

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