キミの螺旋

〈2〉消えない跡

あたしが一番・嬉しかったのは藤紀と一緒にいられる事。

でも密かに思うだけ…

サラがいるし、彼女にあたしの想いとか、ちゃんと話してないから

でもそばにいられる事が嬉しかった。
彼の顔を見るたびに
思い出しちゃうの。

あたしの事を好きって言ってくれたんだって

あたしにキスしてくれたんだって…

熱で頭はボンヤリしてたけど…その言葉とキスの感触は忘れられない。

…だから触れたかった

手を伸ばして届く距離に藤紀はいるのに

あと数㎝が数㎞にも感じられる。
もう一度キスをして確かめたいのに

もう二度と出来ない気さえする…それは彼の態度から感じられた事だった。

やっぱり夢だったんじゃないかって思うくらい、今まで通り。何にも無かったみたい…

この微妙な距離感に
あたしは戸惑った。


そんな恋をした事ない

…ってハルトしか知らないんだけど。

『好き』になったら走って行って告ってオッケーならキスして…すぐに触れ合いたくなって、えっちしちゃうような

あたしは常に直滑降みたいな恋をするんだと思っていたんだけど

今回は違うみたい

触れたいのに触れがたい


神々しくて…もっと神聖な『恋』みたいだった。
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