魔法使いの巫女少女Ⅰ
「貴方たちは何しに来たの?」
そういわれて我に返った。
何をしに来たのか、そんなの決まっている。
「俺は、君がそいつを殺すのを止めに来た。」
そういうと、オリガと楓は頷いていった。
「貴方が初めに生まれた巫女であったとしても、その人は殺させない。」
「っていうよりも、死なれたら困るんだよね。」
「色々聞かなきゃいけないことがあるから。」
そういうと、少女は男を見た。
洸たちも見たとき、正直にあきれた。
男は、あまりにもの殺気に気を失っているようだった。
少女は高身長の男に、もういいよといった。
それを聞いて、面白くなさそうに男から離れた。
「この人のことをこのまま渡しましょう。その代わり、この世界壊していいかしら?」
そういわれて洸はすかさず言った。
「そうしたら、この場にいる全員が死ぬぞ?」
「平気よ、あの子がちゃんと作ってくれるわ。」
「未来が?そんなことが可能なのか?」
「私たち巫女は、世界の管理者、創造主、護り手。いろんな風に呼ばれるわ。あの娘はまだ、自分の力に目覚めていない。でも、もうすぐ目覚めることでしょう。」
「この世界はあんたが作ったのか?」
「ええ、そうよ。」
「なんのために?」
「最初は魔力を持った子たちをこの世界でのびのびと育てるため。それと同時にほかの世界で迫害を受けていた子たちを魔力持として普通に過ごしてもらいたかったから。ただの私の我儘みたいなものよ。」
「死んだ子たちがここに来るようにしていたってこと?」
「死んだ子たちっていうよりも志半ばで死んでしまった人が来るようにしていたの。だから、大人だって普通に暮らしてるでしょ?」
「たしかに、普通にいるしな。」
「でも、私たちには両親がいるわ。それでも、決まった親元に行くようになっているの?」
「それはないわ。どの子がどの親元に行くかは決まってないもの。」
「それは未来も同じなのか?」
「いいえ、あの娘は別よ。あの娘は絶対にこの星の王様のもとに生まれるようにしてあるわ。そうしないと、世界がゆがんでしまうから。」
「世界がゆがむ?」
「えぇ。本当に小さなゆがみだけれど、そのせいで誰かが死んでしまうこともあり得るからそうしているわ。」
そう悲しそうにつぶやいた少女を見て凛と佳、そして舞は尋ねた。
「どうして、未来は死んでも生き返っていたんですか?」
「この星はね、未来と名乗るものが守っているっていうことは知ってる?」
そう問われて全員が頷いた。
「生き返ってるわけじゃないわ。星が同じ人格を作っているだけの全くの別物よ。だから、記憶は伝承されているけれど赤の他人と同じよ。」
「どうしてそんなことをしたんですか?」
「おいて逝かれた時の仲間の顔がね、離れなかったから。」
「えっ?」
「未来と名乗るものの寿命は長くて20年、短い子でも10年しか生きられないの。そんな時に、仲間がすごく泣いてくれて、死にたくないなって思ったのが始まり。だから、これは私の我儘なんだ。あとで、たくさん怒られた気がするけれどでも私は忘れていた。」
失敗に終わったんだと悲しそうに言うこの少女を見て未来を同じだと思った。
そして、静かに言った。
「あまたたちの魂はあの娘が作った世界に行くわ。でも、私とはお別れよ。この地に私は残らないといけないから。」
「そんな!一緒に行こう。」
フルフルと首を横に振っていった。
「私の仲間を置いていけないし、この星が私好きだから。」
だから、あなたたちはいって。
その言葉を最後に洸たちは意識を失った。
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