オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
まぁ、人によるだろうけど。
彼氏とだめになったショックと悲しみは大きいけど、過去は常に流れ去っていくものだもの、いつか元気になれる。

だから。
私も、元気になれるかな…。

気づけば旅行は二日目を終えようとしている。朝以来、基樹からは連絡がない。
明日は最終日。帰宅の日。
楽しい旅行から現実に戻れば、基樹のいない生活が待っている。
独りの毎日が、待っている。

ふと、向居の目線に気づいて、私は物思いから浮上した。
いけない、テンション下がってた。


「だからっ、向居ものんびり旅行なんかしている場合じゃないよ! 早くおとしにいかなきゃ!」


私は明るい声を出して発破をかける。
対して、そんな私を見つめる向居の瞳は、やけに真剣で、なにかを訴えるように光をはらんでいた。


「そうだな。強がっていても本当は辛そうで見ていられないから…すぐに俺のものにしないとな」

「うんうん、向居なら大丈夫よ、いけいけゴーゴーよ!」


なかなかワイルドなことを言う向居を鼓舞する私だったけれど、胸にはさっきからずっと、切ないような疼く痛みが消えずにいた。

この痛みの理由がなんなのだろう。
基樹とのことなのか、向居に長年好きな人がいたことへの衝撃か…それとも、ただの衝撃ではない別のなにかなのか…。

判らないし、考えるのも、なぜか怖かった。



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