オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
恋愛に初心な十代じゃないんだし平静でいられるはずなのに、どうしてもできなかった。
基樹との刺激のない同居生活のせいで、異性への耐性が無くなってしまったのだろうか…。泣けてくる…これじゃあ干乾びているのと同じだ。

ついていくそぶりをして、ななめ後ろから向居を見上げる。
がっしりとした肩幅。すらりと伸びる男らしい首筋。綺麗な顎の輪郭。それだけでいい男オーラが溢れている。

だって、知らなかったんだもの。

仕事もできるこんないい男が、実は人混み嫌いで早起きと自然が好きな仏男…なんて、笑っちゃう本性だったなんて。

だめだ。
胸がざわついて、落ち着かない。

私の中の向居が、完全に変わってしまった。


しばらく歩くと、通行人が車道を歩いていることに気付いた。交通規制がされていて歩行者天国になっている。


「なんだろう?」

「見に行ってみるか」


私たちも車道を進むと、通り一面に出店が並んでいるのが見えた。

お祭だ…!

私としたことが、こんなイベントがあるなんて見落としていた。きっと地元主催のものなんだろうな。なんというタイミング!
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