オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
「はい、利き酒大会の始まりっ。大丈夫、ちゃんと銘柄は書いてもらったからっ。はいじゃあ座って座ってー」

「…俺はビールでいい」

「せっかくなのにもったいないっ。それとも日本酒はあまり飲まないとか?」

「…べつに、そんなことはない」


向居は意を決したようにどしりと座ると、紙コップの列をじっと見つめた。


「…まぁ飲まなきゃ悪いよな。ぜんぶ都のおごりってことだし」

「いつおごりなんて言ったのよ! ちゃんと半分はいただきますからね!」


と、一番端の紙コップをとって、ぐいっと一口。


「うん、きれがあって美味しい。これはキンと冷やして飲みたい味だなぁー」

「ふぅん、どれどれ」

「あ、ちょっとまって、別の紙コップ持って…」


と、立ち上がろうとした私から紙コップを奪うと、向居は口をつけた。
すこし戸惑う私におかまいなしに、ぐいと飲む。


「ん、うまい」
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