オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
「浮気どころか、人が必死になって組み立てたプランを浮気旅行に利用するなんて…あんたってどこまでせこい男なの、基樹?」


怒りをにじませた私の冷ややかな声に、基樹は詫びどころか釈明もすることなく逆ギレする。


「るせぇな! これくらいでケチつけんなよ! 企画営業部様だからってお高くとまってんじゃねぇよ」

「お高く? よく言うわ! 昇進を逃してやさぐれて、勝手に負け犬根性で腐っているのはあんたじゃないの! この根性無し!」


真っ赤になって基樹が言い返そうとしたその時、


「そういう逢坂さんこそ、人のことが言えるんですか」


鋭い口調で飯田が割り込んできた。

いつも鼻に突くくらい私を誉めそやして胡散臭い敬意をしめしてきた女。
けど私はとっくの前から気付いていた。ふとした時に見せていた、私を子馬鹿にするような表情に。内心では私のことを嫌っていたこの女の本性を。

退職した今、飯田はその感情を全面にさらけ出し、濃い化粧で完全武装した顔に嘲りの笑みを浮かべていた。
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