オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
「ほんと、逢坂はいつも綿密で感心するよな。俺なんか、今日のこれからの予定、なにも考えていなかった」

「え?」


思わぬ言葉に驚いた。
早朝めぐりなんて奇抜なプランをたてておいて、この先はノープランだなんて。

目を瞬かせて言葉を失っている私に引け目を感じたのか、向居は少しきまり悪そうに続けた。


「時間とか人気スポットとかに捕らわれず、気ままに行くのが俺のスタイル。俺は旅行の醍醐味はそこだと思うからな。でもま、たまに後悔するんだよな。『せっかく行ったのに、主要な所は見落としてばかりだったな』って。本当に存分に観光できたか、って消化不良を感じて悔しく思うんだ」

「うそ。意外…」


思わず口にしてしまった。
それだけ驚愕だった。
だってあの向居が自分のプランに後悔? 悔しい?


「その点、逢坂のプランは常に『ここぞ』って所は必ず入っていて余すとこなく、だよな。これでもかってくらい当地の魅力を楽しもうとしている。逢坂のプランを見ていると思うんだよ、『きっと逢坂はプランを練るところから、旅行を楽しんでいるんだろうな』って」

「……」

「楽しいよな。どこに行こうかワクワクしながら決めて、それをもっとワクワクしながら実行するって。旅行の楽しみってそこだよな。俺のプランはいつも時間を贅沢に使っているけど、逢坂のはより貪欲に観光を楽しみ尽くすことができる。よくここまで練り上げたよな、といつも感心させられているよ」
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