オプションは偽装交際!~大キライ同期とラブ・トラベル!?~
なんだか、鈍器で思いっきり後頭部を殴られた感じ。
そんな衝撃が向居の言葉にはあった。
今までのくすぶった考えや気持ちが一瞬で霧散して、一気に視界が開けた感じがする。

よく考えてみれば、私たち、十分褒められてもいいわよね。
一位と二位を争うのに必死で気に留めていなかったけれど、その下には、私たちと同じ努力して上を目指している営業がたくさんいる。そのたくさんいる中の二番よ。これって、考えてみればすごいことよね。
我ながらよくやっているわ、私。

…そうだ。
私、すごく頑張っているわよね。

なのに、どうして今まで自分を認めてあげなかったんだろう。


「もしかして私たちって、いいライバル、ってやつ?」

「そういうことだ」


なにをいまさら、とでも言いたげに深くうなずいた向居に、私は鈍い胸の痛みを覚えた。

私、向居のことひどく誤解していた。

向居は素直に私に一目置いてくれていたんだ。
なのに私は、独りで負け根性になって、うがった見方をして、勝手に不愉快になって、向居を嫌っていた。
向居に嫌な態度、一杯とってきた…。

ああ馬鹿みたい。
ほんと、大馬鹿だ、私。
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