過ぎ行く時間の中で
あふれる思いは止まらなく
もうどれくらい走っただろう。少し路肩に車を寄せた。
車が何台か走りさるも、夜の闇が車の音をかき消し、当たりを再び静寂に包む。

静かだー。
そう、あの頃の私の心は、この夜の闇のように、静かで、真っ暗だったと思う。

しかし…
彼女がそんな私に光を射し込んだのかもしれない。

路肩に止めた車を、私はまた走らせ始めた―


あの時以来、私と結女はちょくちょく会うようになっていた。
スロットはもちろん一緒に行ったりしましたが、それ以外にも、たまにはカラオケに行ったり、ファミレスでつまらない話をしながら、他愛もない話を取り留めなくしたりした。

今までの私なら、こういったことが煩わしく感じられていた。
しかし、不思議と結女と会う時間は、遠足前の子供のように、ワクワク感じられるのでした。

かといって二人の関係はというと…
そこから先を考えると、少し怖くなり、頭の中で思考回路を停止させてしまうのだった。

そして私の生活はというと、あいも変わらず取り留めのない生活を送ってはいましたが、少しだけ変化もあった。

まず、大学にはちゃんと通うようになった。

『ウソばっかり。』

ホント、頭の中の結女はいいツッコミを入れる。確かに、ちゃんとと言えば語弊がある。
確かに普通のまじめな大学生よりは格段に少なかったろう。それでも、今までの自分からみれば、だいぶ通うようになりだした。

何より、毎日にはりが出てきた。一日一日、しっかり生きようとか、そんな風に思うほどまじめな性質ではない。
それでも、結女の眩しいほどの一生懸命さに、どこか打たれるものを感じたのだろうか。
とにかく毎日が楽しくて仕方なかったのでした。

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