俺様副社長の溺愛秘書
「本日はお願いがありまして。」


「お願い?」


「はい。」



微かに尚輝の唾を飲み込む音が聞こえた。尚輝も緊張しているのだろう。



「朱里さんと一緒に暮らしたいのですが。」


「…………。」


「付き合いも浅いですし、私の事もあまりご存じでないのは承知しております。」


「つまり同棲かね?」



お父さんの声がワントーン低く聞こえた。尚輝の拳がピクリと揺れた気がした。



「勿論、結婚前提の話ではあります。」


「………。」


「なのに同棲するのは何故かと言いますと。」


「訳を聞きたい。」



お父さんの反応はイマイチ、いや、かなり良くない。


それでも話を進めていく尚輝に耳を傾ける。



「結婚は今すぐにでもしたい。だけど結婚となれば、朱里さんには秘書を辞めてもらう事になります。」


「辞める?」


「はい。副社長夫人として、後は社長夫人として私を支えて欲しいからです。」
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