俺様副社長の溺愛秘書
「俺と二人で過ごすのは嫌か?」


「………。」



何て答えるべき?


私の鼓動が加速していく。耐えきれなくて胸に手を当てた。



「朱里?」


「ご、ごめん。心臓が……。」


「………朱里………。」



甘い囁きと共に尚輝の唇が落ちてきた。


視線を合わせたまま、軽く触れて直ぐに離れていく尚輝を見つめる。



「朱里、可愛いな。緊張してるか?」


「…………。」


「俺も同じだ。」



尚輝が私を抱き締めて甘く囁く。



「朱里、泊まっていけ。」


「でも親に……。」


「言え。お母さんは朱里の判断に任せるって言うに決まってる。」


「………。」


「電話しておけ。明日の夜に帰るって。」


「………。」


「いいな、朱里。」



尚輝が触れるキスを落として私から離れていく。


尚輝は無言で片付けを始めたので、私も片付けを再開した。



尚輝も緊張してる?



無言で片付けをする尚輝にそんな疑問も浮かび上がった。
< 56 / 167 >

この作品をシェア

pagetop