メープル*パンケーキ【2巻】*Happiness story*

『そんな訳ないじゃないですかっ!まったくっ…!
…でも、楓さんの表情が前よりも明るくなったから、きっとちゃんと家族と向き合えたんだって思って。…それがちょっと羨ましくて。』

オレンジ色のパプリカとズッキーニをカゴに入れると私の服の袖を引っ張り精肉コーナーへと誘導されていく中、私は話を続けた。

「…まだ何も向き合えてないんだね、夏音ちゃんは。」

『…私なりに頑張ったんです。…私の誕生日が近くなった頃、両親に幾斗の事を紹介したんです。一緒に住んでる事も正直に話したし。』

「おっ、凄いじゃん。」

『ありがとうございます。…だけど初対面っていうのもあって、顔を合わせてる4人共緊張しちゃって会話も視線も…いまいちで。…ちゃんと話せないで終わっちゃったっていうか…。』
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