メープル*パンケーキ【2巻】*Happiness story*

「(意識が戻ったと言っても目を開けただけ。…まだ言葉を発したり、感情を表情を出したりとかは出来ないの。…手足だって…麻痺して動かせない…)」

『そ……んな…。』

意識が戻った、それが前進の第一歩なんだ。

「まだショックは大きいけどさ。…植物状態からは抜け出せたんだよ、あの状態から頑張って目を開けられるまでになったんだよ?お父さんは。それって凄い事だしー」

その一言で、ここ数ヶ月の出来事や感情が溢れてきて…私の中で温かい気持ちが芽生え笑顔になった。

『奇跡だよね。やっぱり私達のお父さんは強いねっ。』

心の底からそう思ったんだ。

引き続き手足のリハビリをしたり、嗅覚や聴覚を刺激する為に、沢山話しかけたり色々試していこうって話をして電話を切った。

不意に時計を見ると、そろそろ幾斗がお昼の休憩に入る時間になっている。
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