愛されることを受け入れましょう
今更な確認を脳内で行なっているうちに、夕飯は一緒に和食を食べる事が決定していたらしい。樹くんはタブレットを取り出してメニューを考えている。

「どうせ買い物行くんだから、魚も買って来て柚珠奈の好きな西京焼きにしようか?」

「そんなのいいよー。樹くん、もうすぐ論文の提出期限って言ってたでしょ?簡単に作れるのにして勉強した方がいいよ。仕事もあるんでしょ?私も早く帰るし」

「だから、柚珠奈はそんな事気にしなくたっていいんだよ。さっきも言ったろ?柚珠奈の面倒みるのはおれのライフワークだって」

「でもー。日本の大事な頭脳を私の面倒みることに使わせてるなんて、才能の無駄遣いだと思うんだもん」


大学を卒業して親の進めるまま、縁故就職した私とは違って、優秀な樹くんはコンピュータとか機械とかを大学院で専攻している。しかもその傍ら、仕事としてプログラミングもしている。
大学生になって始めた一人暮らしの生活費も学費も自分で稼いでるって言ってたし、うちのお母さん経由の情報では結構稼いでるらしい。

「柚珠奈に奢るくらいには余裕あるんだよ」

って言って、二人でいる時もいつも私に財布を出させない。私だってもう社会人だし、ちゃんとお給料だってもらってるんだから言っても、ちっとも聞いてくれない。
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