愛されることを受け入れましょう
それに、うちの両親はやたらと心配性なのだ。お母さんはお嬢様育ちで結婚するまで門限があったって言うから、それが普通だと思ってるのかもだけど、普通の中流家庭で育った普通のサラリーマンのお父さんは違う。親の欲目で一人娘の私が可愛いと思い込んだ、ただの過保護な親バカだ。

社会人になった時も、この年になってもまだ門限があるなんて友達の中でも私だけだって抵抗したら、両親は私の予想の斜め上をいく提案をしてきた。

「遊びに行きたいなら、今までみたいに樹くんと一緒に行けばいいのよ。それなら遅くなっても、お母さん達も安心だし。
飲み会?会社のお付き合いは仕方ないんだろうけど、それ以外はダメよ。プライベートで行きたいなら、樹くんにお願いしてみたら?」

樹くんは例外だけどそれ以外はダメって、それでは私の交友関係は広くなるはずもない。もちろん出会いも、ない。

職場での出会いに期待するのも難しいしな‥‥‥。

「おい、何朝からヘコんでんだよ」

布巾を握りしめたまま会議机を見つめていた私は、後頭部をファイルでパコンと叩かれて振り返った。

「なんだ。理一君か。おはよう」

「なんだじゃないだろ。それと、職場なんだから理一君じゃなくて松木部長だ」
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