愛されることを受け入れましょう
「了解。じゃあ、歩くか」

「うん、ラーメン食べるんだからちゃんとカロリーも消費させないとだもんね」

無駄な脂肪のない引き締まった身体の樹くんは気にしないだろうけど、ぽっちゃりだった過去を持つ私は油断できないのだ。

「まーたそんな事言ってる。いつも言ってるけど、柚珠奈は気にしすぎなんだよ。もうちょっと肉をつけた方が体つきも女性的になって魅力的になるのに」

「‥‥‥それってメリハリがないって言いたいの?」

体を起こしてジトッと樹くんを見つめたら、片方の口角を上げたちょっと意地悪な笑みで返された。

「ま、それも含めてだな」

「樹くん、それひどい!確かに巨乳じゃないけど、そこまで貧乳ってわけじゃないのに!だいたい、樹くんは見たことないのに‥‥‥」

怒りながらも自分の言っていることが恥ずかしくなって、途中でやめてしまった。これじゃまるで樹くんに自分のプロポーションを見せたいみたいだ。

「確かに見たことはないけど、何度も抱きしめてるからね。分かるよ、柚珠奈の事なんだから」

樹くんの声と言葉は、今まで感じたことのない空気を発していて、私は思わず視線を上げた。

「きっと柚珠奈が思うより、俺は柚珠奈の事を知ってる。だからそろそろ気持ち、開放してほしいんだけど、な」
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