愛されることを受け入れましょう
もっとたくさん聞きたいのに、その場から引き離すように樹くんは私の肩を抱いてぐいっと急に扉の方へと押した。強引なその手に連れられながら、なんとか他の人達に挨拶をする。

「あ、うん、待って。あの、じゃあ、ありがとうございました。ひよりちゃん、由紀ちゃん、ありがとね。理一君、電話するから」

「柚珠奈、絶対だぞ!君も、真っ直ぐに送るんだ」

「ハハッ。僕はまったく信用がないんですね。あーそれとも、理一さんご自身がそのつもりじゃなかったから、ですか?」

最後の最後まで理一君を挑発した樹くんは、見たこともない危険な顔でとどめを刺す。

「信じて頂けないでしょうが、僕は柚珠奈にとって有害な存在になることはないですよ。これまでもこれからも、ね。まぁ、理一さんにとっては分かりませんが」

「なっ!」

そして、年下の樹くんに完全に気圧された理一君を一瞥すると、樹くんは何も言わずに私を店から連れ出した。



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