奏でるものは~第2部~
第3章


横になっても、すぐに眠れるはずもなく、優さんのことを考えてしまう。

優さんと付き合えることになったことで、軽い興奮状態かもしれない。


でも、私には言えないことがあるから、自分が言えないことって相手に聞きにくい。


そういえば、今朝まで学年も知らなかったし。

と笑ってしまう。



名字も知らない。
学校は青蘭だから、きっと良い家柄なんだろう。
家も家族のことも誕生日も血液型も趣味も将来の夢も、何も知らない。

私の名前や芸術科のことは、高野君たちに聞いているかもしれない。

習い事と言ってるけど、どんなものかは知らないだろう。




まだ言うつもりもなかった。




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