眠れぬ王子の恋する場所


「白いのでいいですかね。なんかホテルの部屋に茶褐色の急須も似合わなそうだし」

隣に大人しく立っている久遠さんに聞くと「別に色なんかどうでもいいけど」と言ったあと、首を傾げられた。

「値札は?」
「ああ、お金持ちでも値札はちゃんと見てから買うんですね」
「馬鹿にすんな。それ、前、三ノ宮にも言われたけど、そこまで無頓着じゃねーよ」

ギロッと睨まれ、クスクスと笑う。

「じゃあお会計して出ましょうか。……あ、ちなみに百円の会計でカードなんか出したらひんしゅくかいますから、私が払います」

バッグのなかからお財布を出しながら言うと、「現金ならあるから俺が払う」と言われ驚く。

すると、不満そうな顔を向けられた。

「それも三ノ宮に言われたことあるけど、おまえらの金持ちの認識ってどうなってんだよ。普通、現金くらい持ち歩くだろ。カード使えない店だってあるし」

「そうですけど……なんか、ドラマとかだとみんな揃って持ってないから」

ちゃんと持ってるのか……と感心しながらふたりでレジに並ぶ。
……けれど。

「え……ちょっと、久遠さん。一万円じゃさすがに……小銭持ってないんですか?」
「かさばるし、これしかない」
「いいです。私が支払います」

堂々と言う久遠さんを見て、社長と私のお金持ち認識はほぼ合ってたなぁと思い直しながら、一度しまったお財布を取り出した。



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