エリート御曹司が過保護すぎるんです。
 新人研修のときに同じ班だったことがきっかけで話すようになり、すぐに意気投合した私たち。
 青羽と紫音と私は、所属する課は違っているけれど、ときどき女子会をするほど仲がいい。

 紫音と青羽にはそれぞれ彼氏ができたけれど、それでも女の子同士の友情も大事にしてくれていた。
 どっちも私にとって、大事な友達だ。


「うるさいな。クライアントの奥さんの妹さんがネイリストだっていうから……」

「へぇ、ネイリストね~。桃ちゃん、こいつに変なことされそうになったら、いつでも私に言ってね」

 無邪気な紫音に、私は笑顔で答えた。

「そうね、そうする」
「和宮さんまで、そういうこと言う!?」

 二階堂さんは不服そうに口を尖らせる。

「冗談ですよ」
「傷つくなあ」

 私はこういうとき、笑顔を作らざるを得ない。
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