エリート御曹司が過保護すぎるんです。
 私は卵焼きを半分に切って口に入れた。
 そしてもそもそと咀嚼しながら、心のなかで小さなため息をつく。

 紫音と二階堂さんは、一緒にクラブチームに入っているらしい。
 二階堂さんがキャプテンで、紫音はマネージャー。
 美男美女でお似合いじゃないか。
 そのままホームページの社員採用コーナーに、〝プライベートでも輝く先輩社員〟として掲載されそうだ。

「ふぅん」とさりげない返事をするけれど、ふたりが並んだ姿を思い浮かべ、少し気分が沈む。

 今朝みたいなじゃれ合いだって、正直とてもキツかった。
 プライベートの二階堂さんには少し興味があるけれど、そこには必ず紫音もいる。


「会社のクラブチームの合宿なんて、おもしろそうじゃない? 行ってみようよ~」

 青羽は、興味津々といった様子である。
 スポーツに興味があるなどと聞いたことはなかったが、青羽はこういったイベントが好きだ。

「でも私、バレーなんてできないよ?」
「大丈夫! ただ差し入れ持って見学するだけだし」

「うちの会社にバレーボールのクラブチームがあったことも、このあいだまで知らなかったし。ルールもよくわからないし……」

「桃ちゃんは心配性だなぁ、もう~」

 青羽の能天気な態度に、ちょっとだけゲンナリする。
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