エリート御曹司が過保護すぎるんです。
「勝負下着って……いいの? だって紫音ちゃん、二階堂さんと……」

 すると紫音は、ベッドに腰掛けている私の足もとに座り、顔を上げてまっすぐにこっちを見た。

「桃ちゃんはさ、淳司のことどう思ってるの?」

 心臓を掴まれた気がした。
 部屋のなかに、ピリッとした緊張が走る。

 紫音はまじめな顔で、私の答えを待っている。

 目をそらしてしまいたい。
 けれどそれは、紫音への裏切りを認めることになる。

 どうしよう。
 なんと言って誤魔化したらいいんだろう。

 必死で考えを巡らすけれど、どれもこれも言い訳になりそうな気がして、うまい言葉が出てこなかった。


 黙りこんだ私に、紫音は静かな口調で問いかけた。

「桃ちゃん、いつも淳司のこと見てるよね」

 息が止まる。
 隠していたつもりだったけれど、私の気持ちははっきりと態度に出ていたらしい。
 私はぎゅっと目をつぶり、心のなかで大きく深呼吸する。

 正直に認めるべきだろうか。
 でも、これ以上、紫音を傷つけたくない。

 大丈夫。きっと笑える。
 そう自分に言い聞かせ、私は顔を上げ、静かに口を開いた。

「じつはちょっとだけ憧れてたんだ。社内でもダントツでイケメンなんだもん。だから、目の保養っていうか……アイドル的な?」

「見てるだけでよかったの? 付き合いたいと思わなかった?」

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