奏でるものは~第3部~
「おはよう」
「おはようございます、どうぞ」
墓の前を譲る。
持ってきていた花を供えて、線香に火をつけてから、手を合わせた功さん。
二人が会話しているようで、何となく見ていられなくて、背を向けた。
功さんが立ち上がる気配がして、振り向くと微笑んだ功さんがいた。
「この前の、広場に行こうか」
「うん」
ポケットの中の二つの指輪を触りながら言った。
今度は俺が、とジュースを買ってくれた。