奏でるものは~第3部~
「お邪魔します」
と靴を脱ぎ、揃える。
じっと見ていた春菜が、
「やっぱり仕草が和風よね?」
「あら、誉めてくれるの?ありがとう」
「素直ね」
「いつも、素直よ?
春菜のご家族は?」
「今日は仕事。弟も遊びに行ったみたいね」
「そっか。みんな忙しいんだね。
で、ほんとに作るのね?」
手に持った荷物を見ながら言う。
「今更何を言ってるの?
早速つくるわよ」
呆れたように、春菜が言った。