空と君との間に
ただ、一曲目の出だしに、思わず美紗の方を見てしまい、フレーズを間違いかけた…


何とかごまかしたつもりだったが、メンバーには、気付かれていた様だ。


俺の反省点と言えば、それぐらいか…




「よかったよ〜!あれ、全部自分達で作った曲なんだよね?あんなに、完成度が高いと思ってなかったから、ビックリ!」


「お前、ライブしてる時、ちょっと人が変わるな…」


「どう、変わるんだよ」


「何て言うか…シャキッとする感じ?」


「わかるわかるっ!普段より、格好よく見えるよね」


「…褒めてんのか?」


「一応な!」


「うん。空君、格好よかったよ!」


「まぁ、いいや。ありがと!上手くいってよかったよ」




俺達はその後、みんなで祭を楽しんだ。


…と言っても、俺は殆ど、美紗に捕まっていたが…


街の至る所には、金魚をモチーフにした、提灯が飾られており、俺達は、記念にそれを買った。


俺は大きい物を、美紗は小さい物を…


「親子みたいで、可愛いな」


「うーん、どっちかって言うと、カップルかなぁ…」


俺達も、そうであって欲しい…


「ちゃんと大事に、持っていようね。部屋に飾っとくから、空君もそうしてよ!」


「あぁ…分かったよ」




夜になり、フィナーレの花火を見ようと、皆で街の高台まで移動した…


花火は約30分くらいで、短めだが、祭のフィナーレに相応しく、上がり始めると、皆がそれに注目する。


まるで時が止まったかの様に…


「綺麗だね…」


「あぁ…」


「花火って、一瞬で消えちゃうじゃない?何か、はかないよね…」

「一瞬だから、いいんじゃないの?」


「女の子は、一瞬は嫌だな…できれば、ずっと明るく照らしていたい…っていうか」




確かにそうかも知れない…


今、俺の隣には、美紗がいる。


ずっとこうしていたい…


俺は、真っ暗闇な空に浮かびあがる、華々しい光を見ながら、まるでそれが、俺を照らす美紗のようだと感じていた…


いやきっと、そうであって欲しかったんだ……

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