空と君との間に
変に緊張するな…何て言うかは、ちゃんとメモに書いてあるし、あとは演技力か。


プルルル…プルルル…


「もしもし、村仲ですが?」


げっ、出た!って当たり前か…


「あぁ、もしもし、私、Y高校のバレー部の顧問をしている、小柳と申しますが…」


「あぁ、はい。優子ですかね?少々お待ち…」


「あっ、いえ、お母さんへの用件でして…明日から、バレー部の合宿があるのは、ご存知ですよね?」


「いいえ、聞いてませんが…明日ですか?!」


は?!あいつ、言ってねぇのか?


「まだ言ってなかったんですか?…あの、それでですね。一年生は、各家庭に電話を入れているんですよ。」


「まぁ、わざわざすいません。御足労かけますわ」


「いえ…心配なさる、ご家庭が多いもので…合宿と言っても、市民会館を借りて、一泊するだけですので」


「分かりました。よろしくお願いします。」


「それでは、失礼します」


「あっ、先生?」


げっ、まだ何かあんのかよ?!


「送り迎えとかは、しなくていいんですかね?」


「あ、あぁ、結構です。駅前に集合の手筈になってますんで…」


「そうですか。じゃあ、娘をよろしくお願いします」


「はい、では…」




…あー!!緊張したぁ!でも上手くいったみたいだ…




プルルル…


びっくりしたぁ!!電話か…って、電話?



「…もしもし?」


「あっ空君?優子よ。電話、してくれた?」

「お前かよ…ちゃんと、したよ。っていうか、お母さんに言ってなかったろ?!」


「ごめーん!そうそう。忘れてたのよ」


「ごめーん!じゃねぇよ!まじ焦ったぁ…でも多分大丈夫だぞ。信用してたみたいだし」


「わかった。じゃあ、後は上手くやっとくから!明日ね!」


「あぁ…じゃあな」


全く…バレなきゃいいけど…


とにかく明日は、泊りで海だ!俺も準備しないと。

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