空と君との間に
美紗が笑った。


「なんだよぉ?」


「クスクス…いやね、私も今、それ言おうとしてやめたから…」


「何で?だって、それっぽいだろ?」


「そうだけど…クスクス」

「だけど、なんだよ?」


「何でもな〜い!」


「ちょっと、ここで休憩していこうか!」


隆志の提案で、俺達は、休憩がてら、岩場に居座ることにした。


波で、岩がえぐられ、ちょうど日蔭になっている場所で、俺達は並んで横になった。


隣には、美紗がいる。


少しだけ顔を傾けると、気持ち良さそうに、目を閉じている美紗が、見て取れる。


少しだけ、見ていよう…美紗の横顔。


こんな時、俺に勇気があれば…


好きだ…そう言えれば…


まぁ、隆志と優子がいる。無理な話だ。




それにしても、静かだな…


遠くから、微かに聞こえるセミの声…


そよそよと、濡れた髪を揺らす風…


穏やかだが、時には激しく、岩場にぶつかる波の音…


俺も目を閉じて、この自然を感じていた。




すると、美紗の手が俺に触れた。


そして、俺の手をぎゅっと握ってきた…


俺は少し驚き、美紗の方を見たが、美紗は相変わらず、目を閉じたまま…


美紗の手は、とても華奢でいて、柔らかかった。


突然の行為だったが、不思議と俺に戸惑いはなく、自然な感じがした…


何の違和感も感じな
かった…


俺は優しく、その手を握り返した…


幸せな、ひと時だった…


その後、俺達は、何もなかったかのように、夕方まで海を楽しみ、帰宅した…




こうして、俺達の夏は終わった。




心配されていた、美紗達の親の件も、嘘には気付かれず、問題は起きなかった。




それにしても、手を握っていたあの時…


美紗は、いったいどんな気持ちだったんだろう…


俺と同じ気持ちで、いてくれたのかな…

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