空と君との間に

傷心


外からの音を、完全に遮断している、静まり返ったスタジオ内…


時計の針は、もうすぐ0時をまわろうとしている。


クリスマスか…


ドンチャン騒ぎで、酔い潰れ、スタジオの外のトイレで、ぐったりしている隆志…


完全に寝てしまっている、優子…


亮といえば、彼女と抜けたきり戻ってこない…


唯一、酒を飲んでいない俺は、一人取り残された感じになっていた。



「ふぅ…イベント、出たかったな…」


「……そらくぅん」


「み、美紗?だいぶ酔ってるなぁ…あんまり飲めないって言ってたのに、無理するから」


「だいじょう…びっ!ヒック!」


大丈夫に見えないんですけど…


俺は煙草に火をつけた…



「未成年の喫煙は、禁止されていまふぅ…へへっ!言ってみたかっらの…」


「こりゃ駄目だな…完全に酔っ払ってる…」


「バント、頑はっていこぉ〜ねぇ…空くぅん」


「あぁ、一緒に頑張ろうな。ずっと一緒に…」


「なにぃ?!ずっろ一緒にいたいのぉ?あたしとぉ」


……はっ?!


「いや、そうじゃなくて、バンドをね……」




!!!!!!!!!!




抱き着かれた瞬間…美紗がしている香水の匂いが、フワッと香った。


俺の心臓の音は、室内全体に響いてるのではないかと思うくらい、高鳴っていた。


美紗が、俺に密着状態…


強く抱きしめられている…こんな状態じゃあ、絶対に、美紗にも伝わっているはずだ…


この…胸の鼓動が…


「み、美紗……」


理性が…失われていく…




「らぁいすき!」


ドキッィ!!!!


今、美紗、好き…って言った?


美紗は、俺のことが…


…好き?




……ZZZ…


またこのパターンかよ!!


勘弁してくれ…優子といい…この美紗といい…


こんなに泥酔してたら、本当の事なのかさえ解らない…


………しかし………


美紗って本当に可愛いよな…



…………………



……キス…してみようかな…


< 41 / 59 >

この作品をシェア

pagetop